データ分析ブログ データ分析度数分布表とは?メリットやエクセルでの作り方を解説

度数分布表とは?メリットやエクセルでの作り方を解説

この記事では、統計学における重要なツールである度数分布表について詳しく解説しています。度数分布表の定義や作成方法、使用する際の具体的な場面、ヒストグラムとの違い、それに伴うメリットとデメリット、注意点、そしてExcelを使用した度数分布表の作成手順までが網羅されています。データの分析や理解を深めるための基本的な知識として、初学者から専門家まで幅広い読者に役立つ内容が含まれています。

目次

度数分布表とは

度数分布表とは、統計学においてデータの分布を表現するための表の一つです。数値データがどのように分布しているかを視覚的に理解しやすくするために、データを階級に分け、各階級に属するデータの個数(度数)をまとめた表です。この表を利用することで、データセットの傾向や特徴、異常値の存在などを素早く把握することが可能です。

階級と階級幅

度数分布表を作成する際には、データをいくつかの階級に分ける必要があります。階級とは、データを区切る範囲のことで、例えば「0以上10未満」、「10以上20未満」といった具体的な数値の範囲です。階級幅はこれらの範囲の広さを指し、通常はデータの特性や分析の目的に応じて設定されます。

度数と累積度数

階級に分けられたデータの個数を「度数」といいます。全データの中で、特定の階級に何個のデータが含まれているかを示します。さらに、ある階級までの度数を合計したものを「累積度数」といいます。累積度数を用いることで、データの分布がどのように蓄積しているかが一目でわかります。

度数分布表の利用例

度数分布表は、様々な分野で利用されます。例えば、学校では生徒の試験成績の分布を把握するために使われたり、ビジネスの現場では顧客の年齢層や購買行動の分析に活用されます。また、科学研究では実験データの分布特性を分析する際にも用いられることがあります。

度数分布表はどんな時に使うのか

度数分布表は、データの分布や傾向を明確に理解する必要があるさまざまな状況で使用されます。以下は、度数分布表の使用が特に有効とされる主な場面です。

大量のデータの概観

データセットが大きい場合、個々のデータポイントを一つ一つ分析することは非効率的です。度数分布表を用いることで、データを階級ごとにまとめ、全体の分布を簡潔に把握することが可能になります。これにより、どの数値範囲がもっとも多くのデータを含んでいるか、または少ないかといった情報が瞬時に得られます。

異常値や外れ値の識別

度数分布表を使用すると、異常値や外れ値がある階級が容易に識別できます。例えば、ほとんどのデータが一定の範囲内に集中しているにも関わらず、非常に高い値や低い値を示す階級があれば、それが外れ値である可能性が高いです。この情報は、データの精査やクリーニングプロセスにおいて非常に重要です。

比較分析

異なるグループやカテゴリのデータを比較する際にも、度数分布表は有用です。複数の度数分布表を並べて見ることで、各グループのデータ分布の違いを直感的に理解することができます。これは、マーケティング分析、人口統計学、教育の成績評価など多岐にわたる分野で応用されます。

データの正規性の検証

統計的なテストやモデルを適用する前に、データが正規分布に従っているかどうかを確認する必要があります。度数分布表は、データがどのような分布形状をしているかを視覚的に示すことで、この確認作業を支援します。正規分布しているデータは、多くの統計的手法で仮定として設定されることが多いため、この検証は非常に重要です。

度数分布表とヒストグラムの違い

度数分布表とヒストグラムはともに統計データの分布を視覚的に表現するツールですが、表現形式や使い方には明確な違いがあります。ここでは、その主な違いを詳しく解説します。

形式の違い

度数分布表

度数分布表は、データを階級に分け、各階級にどれだけのデータが含まれるか(度数)を数値で示した表です。表形式で表示され、各階級の度数や累積度数を具体的な数字で把握することができます。これにより、データの具体的な数値を正確に理解することが可能です。

ヒストグラム

ヒストグラムは、度数分布表のデータを基に作成される棒グラフです。各階級を横軸に、その階級の度数を縦軸にして棒で表示します。ヒストグラムを使うことで、データの分布が一目で視覚的に捉えられ、どの階級が高い度数を持っているかが直感的に理解できます。

用途の違い

度数分布表

度数分布表は、データを詳細に分析したい時や、正確な数値が必要な場合に適しています。また、複数のデータセットを表で並べて比較することも容易です。統計的な分析や、レポートでの具体的な数値の提示に用いられます。

ヒストグラム

ヒストグラムは、データの全体的な傾向を素早く把握したい場合や、データの分布形状を視覚的に表示する必要があるときに有効です。特にデータが正規分布しているかどうかの視覚的な確認に役立ちます。プレゼンテーションや初学者向けの説明に頻繁に使用されます。

目的とユーザーの違い

度数分布表は、数字を基にした詳細な分析を行う専門家や研究者に好まれます。一方、ヒストグラムはデータの視覚的な説明を求める一般的な聴衆や学生にとって理解しやすい形式です。どちらを使用するかは、対象のデータ、分析の目的、そして情報の受け手によって異なります。

度数分布表のメリット

度数分布表はデータ分析において非常に有用なツールであり、その利用は多くのメリットを提供します。以下では、度数分布表の主な利点を詳細に説明します。

データの分布が明確に把握できる

度数分布表を使用する最大の利点の一つは、大量のデータの中からその分布の傾向を簡単に把握できることです。各階級の度数を表で一覧化することで、どの値域にデータが集中しているのか、または散らばっているのかが一目でわかります。これにより、データセット全体の構造を理解するのに役立ちます。

統計的分析の基礎となる

度数分布表は、様々な統計的手法を適用する前の基礎となるデータの形式を提供します。たとえば、平均、中央値、モード、分散などの計算に必要なデータの整理が度数分布表を通じて行えます。これにより、更なるデータ分析が容易になり、正確な結果を導き出すことが可能です。

比較分析が容易に

異なるデータセットや異なる時間期間のデータを比較する場合、度数分布表を用いると、それぞれのデータの特性を直接比較することができます。これは、ビジネスの意思決定、学術研究、政策評価など幅広い分野での分析に利用されます。

ビジュアル化のための前段階

度数分布表は、ヒストグラムや箱ひげ図などの視覚的なデータ表示を作成する際の前段階としても機能します。表から得られたデータを基にこれらのグラフを作成することで、データの視覚的な理解をさらに深めることができます。

教育的ツールとしての有効性

データの基本的な理解を学ぶ際、度数分布表は非常に有効な教育ツールです。学生やデータ分析初学者がデータの概念を掴むために、具体的な数値とその分布を直接見ることができるため、理解が深まります。

度数分布表のデメリット

度数分布表が多くのメリットを提供する一方で、その使用にはいくつかの制約やデメリットも存在します。以下では、度数分布表の利用における主要なデメリットを探り、その影響を詳しく解説します。

データの細かい変動が見えない

度数分布表はデータを階級に分けて集計するため、各階級内のデータポイントの具体的な値が失われます。これにより、データの細かい変動や個別の特性を見落とす可能性があります。たとえば、同じ階級内のデータポイントが階級の境界に近いかどうかの情報は分かりません。

分析の柔軟性が制限される

階級の数や幅は分析の結果に大きな影響を及ぼしますが、これが適切でない場合、誤った解釈を招くことがあります。階級が広すぎると重要なパターンを見逃し、狭すぎるとデータのノイズが強調されます。階級の設定は、データの特性や分析の目的に応じて慎重に行う必要があります。

統計的な誤解を招くことも

度数分布表だけを見てデータを解釈すると、データの分布形状について誤った理解をすることがあります。たとえば、度数分布表からはデータがどの程度散らばっている(分散)や、どのような形状(歪み、尖度)をしているかが直接的にはわかりません。これにはヒストグラムや他の統計グラフが必要です。

変動性の評価が難しい

度数分布表は、各階級における度数のみを提供します。これにより、データの変動性や不確実性の評価が困難になる場合があります。特に、サンプルサイズが小さい場合や、データに周期性がある場合には、度数分布表では不十分な情報しか得られないことがあります。

度数分布表を使う場合の注意点

度数分布表は有用な分析ツールである一方で、その使用には注意が必要です。ここでは、度数分布表を使う際に留意すべき主要な注意点を解説します。

階級数のバランスが重要

階級数が多すぎるとデータが過剰に細分化され、分析が複雑になります。一方で、階級数が少なすぎるとデータの重要な特徴が隠されてしまいます。階級数の選定は、データの範囲、分布の形状、および分析の目的に基づいて慎重に行う必要があります。

階級幅の一貫性

階級幅はできる限り均一にすることが推奨されます。不均一な階級幅を使用すると、データの解釈が困難になり、誤解を招く原因となることがあります。

データの前処理とクリーニング

度数分布表を作成する前に、データセットから異常値や欠損値を適切に処理することが重要です。これらは分析結果に大きな影響を与えるため、どのように扱うかを決定する必要があります。

データの分布形状の検証

度数分布表はデータが特定の統計的分布に従っているかどうかを仮定せずに使用されますが、特定の分析技法を適用する前には、データの分布形状を確認することが必要です。正規分布など、特定の分布を前提とする分析手法では、事前にデータの形状を評価することが重要です。

主観的な解釈を避ける

度数分布表から得られる情報は、しばしば主観的な解釈に影響されがちです。データから導き出される結論は、可能な限り客観的なデータに基づいて行うよう心掛けましょう。解析結果の誤解を避けるために、第三者による検証も考慮すると良いでしょう。

エクセルでの度数分布表の作り方

Microsoft Excelは、度数分布表を作成するのに非常に便利なツールです。このセクションでは、Excelを使用して度数分布表を効率的に作成する手順を詳しく説明します。

データの準備

まずは、分析したいデータをExcelのスプレッドシートに入力します。データ列を明確にし、どのデータを基に度数分布表を作成するかを決定します。

階級の設定

度数分布表の精度は階級の設定に大きく依存します。階級の範囲(例: 0-10, 10-20, 20-30...)を決め、それに基づいて階級の列を作成します。階級は通常、データの最小値と最大値を考慮して設定します。

度数の計算

度数を計算するために、ExcelのFREQUENCY関数を使用します。この関数はデータ配列と階級の境界値を引数として取り、各階級におけるデータの数を自動で計算します。

  1. FREQUENCY関数を入力するセルを選択します。

  2. 関数の引数にデータの範囲と階級境界の範囲を入力します。

  3. 関数を入力したセルから下にドラッグして、すべての階級に対して度数を表示させます。

度数分布表の完成

階級とそれに対応する度数が計算されたら、それらの情報から度数分布表が完成します。この表を用いて、データの分布を分析したり、さらに詳細な統計的分析を行うことができます。

ヒストグラムの作成

度数分布表を元にヒストグラムを描く場合は、Excelのグラフ作成機能を利用します。

  1. 度数分布表のデータを選択します。

  2. 「挿入」タブから「グラフ」を選び、「ヒストグラム」または「棒グラフ」を選択します。

  3. 必要に応じてグラフのスタイルやラベルを調整します。

これらのステップを通じて、Excelを使って効率的にデータの分析を行うことができます。エクセルの度数分布表とヒストグラムの機能を活用することで、データの洞察を深め、より質の高い情報を得ることが可能になります。

まとめ

この記事では、度数分布表の基本から応用までを網羅的に解説しました。度数分布表の定義、利用シーン、ヒストグラムとの違い、さらにはそのメリットとデメリット、注意すべき点について詳しく説明しました。また、Excelを用いた度数分布表の作成方法も提供し、実際のデータ分析に役立つ手法を紹介しました。この知識を活用して、データ分析の精度を向上させ、より効果的な結果を導き出すことができます。

Contributor By: 渡邉 実基

Srush株式会社のマーケティング担当者。 豊富な営業経験を経て、顧客の認知から購入に至るプロセスにおける要素分析の難しさに直面し、その解決策としてSrushとの出会いを果たす。 データ分析の力を駆使して、日本の全企業がより効果的な意思決定を行い、競争力を高めるためのパートナーでありたいと思っています。趣味はカフェ巡り

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